2019年10月29日、アップルから突如として登場した「AirPods Pro(エアポッズプロ)」。
AirPods Proはアップルの純正ワイヤレスイヤフォン。
両耳に取り付ける「完全ワイヤレスヘッドフォン」の市場はここ2〜3年で大きく盛り上がり、ヘッドフォンを扱う各メーカーがしのぎを削る注目の市場です。
今までのAirpodsとは何が違うのか、噂のノイズキャンセルはどうなのか、音質はどうなのか、果たして買っていいモノなのかをご紹介します。
AirPods Proのデザイン&装着感は?
今までのAirPodsと比べ、デザインも装着感も大きく変わりました。
ノーマルのAirPodsは有線ヘッドフォン(EarPods)とよく似たデザインでしたが、Porになって一新されています。
AirPods ProとAirPodsのスペック比較表
AirPods Pro | AirPods | |
価格(税抜) | ¥27,800 | ¥22,800 (ワイヤレスチャージャーなしモデルは¥17,800) |
サイズ | 30.9×21.8×24mm | 40.5×16.5×18mm |
重量 | 5.4g | 4g |
ケースサイズ | 45.2×60.6×21.7mm | 53.5×44.3×21.3mm |
ケース重量 | 45.6g | 40g |
再生時間 | 4.5時間 (ノイズキャンセリングOFF時は5時間) |
5時間 |
ノイズキャンセリング機能 | あり | なし |
重量は本体・ケース合わせて55グラム。本体の重量は少し重くなったものの長さも短くなりコンパクトさは維持しています。
再生時間はAirPodsより短くなってますが、ノイズキャンセリング機能をオンにして4.5時間の再生時間は立派です。
AirPodsとAirPods Proは併売されますが、音質も向上し、機能もアップしているのでAirPodsのグレードアップモデルと言ってもいいでしょう。
下位モデルAirPodsとは似て非なるデザイン
下位モデルのAirPodsはオープンイヤー型のヘッドフォンから、AirPods Proは密閉型のカナル型へと変更しました。
うどんとも言われたマイク部分は短くなり、少し目立たなくなりました。しかし、耳に入れるヘッド部分はノーマルAirPodsに比べ大型化。
下位モデルのAirPodsはいろいろな耳の形に幅広く対応できるような構造でした。その構造上、耳からポロリと落ちるというユーザーの声も多く聞かれました。
AirPods Proはシリコン製のイヤーチップが搭載され、耳の形状に合わせてフィットするカナル型に近いものの独自の形状をしており、シリコンの部分も独自のデザインです。
カナル型特有の圧迫感もないので装着感はとてもいいといえます。
小型ヘッドフォンには、カナル型とオープンイヤー型があります。
カナル型は耳の穴にねじ込むように装着するタイプのイヤフォンで、装着部分はシリコン製やウレタン製などになっています。メリットは遮音性が高くオープンイヤー型に比べ音質的にも有利と言われています。
オープンイヤー型は耳に引っ掛けるタイプのヘッドフォン。メリットは装着感が自然で着脱も容易なことや密閉性が低いので外部音が聞き取りやすいこです。デメリットは音漏れがしやすいことと高音質を追求しにくいことです。インナーイヤー型と呼ばれることもあります。
イヤーチップは引っ張れば外れます。チップサイズはS・M・Lと3種類。自分の耳に合わせてより快適な装着感を得られます。
耳が当たる部分はシリコン製ですが、接合部分はプラスチックになっており、取り付けもカチッとはめ込まれます。
消耗品でもあるイヤーチップはアップルのオンラインストアから購入可能です。
一体いくらするのかといいますと、
アップルでの価格は価格は1セット438円。3サイズ1セットではなく、1サイズの価格です。
イヤーチップは消耗品ですのでそのうち購入することになりそうです。
アップル公式サイトからサポートに進み、AirPodsを選択して交換品の注文に進んでください。アップルIDやAirPods Proのシリアルナンバーが必要です。
しかし、アップル以外ではAmazonなどで購入することが可能。社外品も多数登場してきています。純正タイプに似たイヤーチップやウレタン製で低反発なイヤーチップなど自分の好みに合ったイヤーチップを購入しましょう。
AirPods Proの音質は?
音質についてはiPhoneに付属しているヘッドフォンより高音質、さらに言えばAirPodsより高音質です。低音もしっかりしシャカシャカした感じが改善されており、引き締まった印象です。
音質は非常にフラット。マイルドで聞きやすい音質で長時間聴いてても疲れない音質と言えます。
しかし、本物の音質を求めるのであれば他のオーディオメーカーが作るワイヤレスヘッドフォンにしたほうがいいかもしれません。
アップルは音質を追求するより、軽い本体や快適な装着感、シンプルで簡単なな操作感など総合的なバランスを考えているようです。
AirPods Proのノイズキャンセリング性能は?
今回からついにアクティブノイズキャンセルの機能が搭載されました。
ノイズキャンセルとはその名の通り、ノイズを消し去る(軽減)ことのできるヘッドフォンの機能の一つです。
アクティブノイズキャンセルの機能は、ソニーやボーズなどオーディオメーカーがすでに商品化している機能で、有線・ワイヤレス問わず注目されている機能です。
アップルで初めて採用となったノイズキャンセルですが、どのメーカーにも負けないぐらい強力なノイズキャンセル機能を搭載しています。
ノイズキャンセルには、アクティブノイズキャンセルとパッシブノイズキャンセルの2種類が存在します。アクティブノイズキャンセルは騒音に相反する音をぶつけることによってノイズを軽減しています。パッシブノイズキャンセルはヘッドオンの形状により外部の音を遮断する方式です。音楽を楽しむ上で重要な機能といえます。
ノイズキャンセルがとにかくすごい
耳につけてみると外部の音が「スッ」っと消えるのがわかります。
とにかく驚きです。
例えは難しいのですが、映画館の中と外の違いのような感覚、あるいは水中に入ったような感覚とでもいいましょうか。
少しは聞こえるけど明らかに静かになるのです。
なぜ、こんな事ができるのかというと、AirPods Proについているマイクが1秒間に200回もの音を採取し、外部のノイズ音と真逆の音をぶつけて外の音を消しています。
音楽を聴く聴かないに限らずノイズキャンセリングは機能しますので、耳栓代わりにもなりとても優秀です。
飛行機の中や電車の中などうるさいと感じた時に、ノイズキャンセルをオンにすればかなり快適です。
車の自転車、バイクなどを運転をする時はノイズキャンセル機能はオンにしないでください。クラクションやサイレンなどが聞こえないので非常に危険です。
外部音取り込みモードも優秀
もう一つの機能は「外部音取り込みモード」です。
こちらもかなり優秀で、ヘッドフォンで耳がふさがっているにも関わらず外の音がしっかり聞こえるのです。
外部の音をマイクで拾ってヘッドフォンのスピーカーで流しています。しかも音の遅延も感じず自然な感じで聞くことができます。
外の音も聞きたい、しかし音楽なども楽しみたいという時にこの機能は非常に役に立ちます。
例えば、電車内のアナウンスを聞き逃したくない時や、コンビニやスーパーのレジでヘッドフォンを外すのが面倒な時など、あたかも店内のBGMのような感覚で音楽を聴きながら日常会話が可能です。
ノイズキャンセリングのオンオフも超簡単!
ノイズキャンセルモードと外部音取り込みモードの切替はとっても簡単です。
下記写真のように、フラット部分を長押しすれば切り替えが可能です。感圧式のスイッチになってまして、長押しすれば「カチッ」っと音がします。
買い物していてレジで精算など、周囲の音を聞きたい時に切り替えます。
その他の操作方法は後ほど説明します。
スマホとの連携は簡単?操作はどう?
初めて使う場合はiPhoneのBluetoothをオンにし、AirPods Proのケースを開けて近づけるだけでペアリングが完了します。
アンドロイド端末の場合は、AirPods Proのケースのボタンを長押しし、アンドロイド端末側でペアリングモードにするだけで接続完了します。
ペアリングは拍子抜けするぐらい簡単ですが、使い方もとても簡単です。
耳に装着するだけでオンになり、耳から外すとオフになります。
操作も簡単で、イヤフォンのフラット部分を押す動作だけで操作が可能です。
もちろん電話も可能です。LINE電話や、格安SIMが提供する電話アプリ系の通話も問題なく可能です。
感圧センサーを押し込むことによって操作可能
軸に内蔵された感圧センサーが、押し込んだことを検知します。感圧センサーの押す回数や長さを変えることで様々な操作が可能です。実際には「つまむ」動作で反応します。
実はiPhone付属の有線ヘッドフォン(EarPods)の操作とほぼ一緒です。操作方法に戸惑うことはないでしょう。
感圧センサー操作 | 動作 |
1回押す | 再生・一時停止 |
2回押す | 次のトラック(順送り) |
3回押す | 前のトラック(逆送り) |
長押し | 外部音取り込みモード切替 |
着信時1回押す | 着信時通話開始 |
通話中1回押す | 通話終了 |
音声操作でもコントロール可能
Siriによる操作も可能です。Siriは音声によるスマホ操作のことで、「Hay Siri」とAirPods Proに話しかけて音楽のコントロールをお願いすることができます。
一部ではありますがAirPods Pro関係のコントロール方法をご紹介します。
Hey Siri(ヘイシリ)の後に話しかける言葉 | 動作 |
音量上げて(下げて) | 音量が少し上がる(下がる) |
音量10%(0〜100%) | 音量を10%にする(0〜100%で可能) |
現在の音量は? | 50(例)%です |
音量半分 | 現在の音量が半分に下がる |
次(前)の曲にスキップして | 次(前)の曲にスキップ |
ノイズキャンセルオン(オフ) | ノイズキャンセリングモードオン(オフ) |
外部音取り込みオン(オフ) | 外部音取り込みモードオン(オフ) |
音楽再生(音楽停止) | 音楽再生(音楽停止) |
AirPodsのバッテリーは? | 88(例)%です |
30秒進めて(戻して) | 音楽が30秒進む(戻る) |
なくしやすいヘッドフォンも探せる
iPhoneとの連携を利用して紛失したAirPods Proを探すことができます。
片側わずか5.5gのヘッドフォン。部屋の中などで紛失することもあるでしょう。そんな時、iPhoneに「Hey Siri(ヘイシリ)AirPodsを探す」と話しかけてください。
するとヘッドフォン本体から音を鳴らすことができます。
「ピピピ、ピピピ」と鳴りますのですぐ見つけることができるでしょう。
Hey Siriと話しかけてAirPods Proを探すことができます。 | iPhoneの「探す」アプリを起動すればAirPods Proの現在地を表示できたり音を鳴らすこともできます。 |
バッテリーは最長5時間
再生時間は4.5時間。ノイズキャンセル機能をオフにすれば5時間の利用が可能です。
付属の専用ケースに入れることで充電ができます。わずか5分の充電で1時間の再生が可能です。
付属のケースでの充電を含めると24時間の利用が可能で1日中使い続けてもバッテリー切れに悩むことはないでしょう。
専用ケースはケーブルによる充電も可能ですが、ワイヤレス充電にも対応しています。ただし、ワイヤレス充電器は付属していません。
AirPods Proの残念なところは?
いいことばかりのAirPods Proのようですが、不便に感じたことや残念に感じたこともございます。
音量調節ができない!
音量調整は基本スマホでの操作になります。ヘッドフォン本体でなんとかならないのかと感じます。スマホをカバンにしまってる場合はいちいち鞄から出す必要があります。
Siriによる音声操作により音量の調整が可能ですが、電車内や静かな場所などで「Hey Siri(ヘイシリ)」とヘッドフォンに話しかけるのは少し恥ずかしいかもしれません。
やはりアップル製品との連携がメイン
アンドロイド端末での利用も可能ですが、iPhoneの利用を前提としているようでSiriによる音声操作はできません。また、耳から外したとき音楽が停止する機能は非対応です。
僕もiPhoneSEに加えアンドロイド端末(サムスンGALAXY)を使ってますが、アンドロイド端末での利用はたまにだけ。
なぜならAirPods Proのすべての機能を使うことが出来ないからです。
利用頻度の高いグーグルアシスタントなども使うことが出来ず残念です。
その優れたノイズキャンセル機能をアンドロイド端末で体験できるのはいいことです。しかし日本のスマホの約半分はアンドロイド、いや世界シェアでは7割近くがアンドロイドです。アンドロイド端末にもきっちり対応してくれればもっと売れると思います。
金額が高く音質に見合ってない?
3万円以上するヘッドフォンはそう気軽に買えるものではありません。実際3万円あればミドルクラスのスマホも買えてしまいます。
その便利さとノイズキャンセル機能に感動する一方、音質に関しては3万円の価値があるかというと疑問です。音質だけで選ぶヘッドフォンではありませんが、とにかく音質を求める方は候補から外したほうがよさそうです。
AirPods Proレビューまとめ
iPhoneとの連携も簡単。驚きのノイズキャンセル機能を備えたAirPods Proはワイヤレスヘッドフォンの大本命です。
優秀なアクティブノイズキャンセル機能のおかげで音楽や映画に集中できることでしょう。
また、音楽を聞かなくてもノイズキャンセル機能は利用可能なので、カフェや職場で勉強・仕事にも集中できることでしょう。
正に「Pro」の名にふさわしいワイヤレスヘッドフォンといえます。
ワイヤレスヘッドフォンに3万円は高いかもしれませんが、決して後悔することはないでしょう。
最後にミニ裏技
AirPods Proのケースを開くと簡易スマホスタンドになります。動画視聴時にお試しください。